KPPグループのメイン事業と近年の取り組み
紙の可能性を追求し続けるKPPグループでは、紙を原料とした新しい製品開発にも取り組んでいます。
メイン事業とともに、近年にグループ各社が開発した製品の一例をご紹介します。
ペーパー&ボード事業
新聞・印刷・情報関連用紙等の洋紙や段ボール箱に使われる段ボール原紙、菓子・ティッシュの箱やカード等の原紙となる紙器用板紙等を扱います。
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パッケージング事業
顧客ニーズに応えるオーダーメイドソリューションを提案。
自動車・エレクトロニクス&ハイテク・機械・金属・食品・化学等の幅広い産業分野へサービスを提供しています。
ビジュアルコミュニケーション事業
欧州や豪州で需要が拡大している店頭広告・看板・室内装飾・ラッピング等の視覚に訴えるメディアビジネス。
大判インクジェット印刷やインク等の消耗品も併せて供給します。
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スパイサーズ:Spicers
製紙原料(パルプ・古紙)事業
現在、製紙産業全体で消費される原料の約4割はパルプで、残り6割が古紙です。
当社は国内外のネットワークを活用してパルプ・古紙を調達し、製紙会社に販売しています。
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環境関連事業
ecomoシリーズ
当社グループは「総合循環型企業」をめざし、家庭から出る紙ごみを回収してリサイクルする仕組みを持つ「タウンecomo」、企業のオフィスで発生する機密文書を回収し、古紙原料化する仕組みを持つ「オフィスecomo」、2019年より「サーマルリサイクル」と「マテリアルリサイクル」の両輪による事業拡大を目的に、「ecomo Closed Recycle Service」と「BMecomo」の2つの新サービスを提供しています。
BMecomo
「BMecomo」は、バイオマス発電所から得られるあらゆるデータを収集・解析し最新のテクノロジーの活用と徹底的な「見える化」により日々の運転業務、事業経営・管理に役立てることでバイオマス発電所の収益最大化を支援するサービスです。
バイオマス発電所で使用する燃料は自然由来のものであり品質が一定ではありません。この日々刻々と変化する燃料に対応するためには運転ノウハウの蓄積・継承は欠かすことが出来ません。「BMecomo」は高度なIoT管理により、燃焼効率化・最大発電量の維持、それを下支えする熟練運転員のノウハウの次世代への継承、長期に渡る持続的な経営・管理の実現や日々発生する設備トラブルへの対処といった様々な課題解決を支援します。
また、いつでもどこからでも発電所のリアルタイム稼働状況を監視できることから、発電所の現場、責任者とステークホルダーとを繋げる情報共有プラットフォームとして発電所の意思決定、企業価値・事業価値の向上に役立てて頂きたいと考えています。
また、2022年にはさらなる事業の拡大と効率化、意思決定の迅速化などを目的として「BMecomo」の開発および販売を主要事業とする子会社(株式会社BMエコモ)を設立、2023年にはグリーンエネルギー開発事業に参画しています。
当社は「BMecomo」によりこれまでにない新たなバイオマス発電事業の創出を目指しています。
ecomo Closed Recycle Service
日本の古紙利用率は約65%であり、世界でもトップクラスを誇っています。その高いリサイクル率を支えているのは、各家庭やお客様(企業)に於ける分別廃棄と古紙回収・製紙業界による三位一体のリサイクルシステムです。
持続可能な開発目標(SDGs)への対応が世界的課題として共通認識となった今、古紙のマテリアルリサイクルも多様化してきており、お客様主導による新たな取り組みも生まれています。お客様の中には、自社商品に使用した紙製品(段ボール等)を自社主導で回収し、最後まで責任を持ったリサイクルを推進する動きも出始めており、こうした取り組みが将来的に拡がっていく可能性も高いと考えます。
このような動きの中で、当社(KPP)は原紙供給という「動脈」と古紙回収という「静脈」を一元管理することで、発生する古紙を原紙へ戻し、お客様に再度利用していただくという資源循環のリサイクルループの実現・見える化をサポートします。そして、お客様の環境活動に寄与し、持続可能な循環型社会の実現に貢献してまいります。
近年の取り組み
OJO+
プラスチックごみ排出抑制のほか、生産からリサイクル、廃棄に至るまでのすべてのプロセスにおいて、環境負荷に考慮したサステナブルな取り組みが急速に広がっています。なかでも環境負荷の低い素材として改めて注目されているのが「紙」です。
今年4月に当社のグループ企業となった王子ファイバー株式会社は、天然の紙糸繊維「かみのいとOJO+(オージョ)」を製造しています。原料となるマニラ麻を釜で蒸して繊維を取り出し、その繊維から薄くて強靭な巻紙を製造。それを細長くスリットしてテープ状にしたのち、撚りをかけて糸にしていきます。こうしてできた紙糸「OJO+」は、他の繊維と比べて軽く毛羽立ちが少ないうえ、紙の弱点とされる耐水性があるため繰り返し水洗いも可能。また、1本1本の繊維が多孔質※のため軽く、通気性や速乾性があり、夏は涼しく冬は温かいという特性があります。さらっとした肌触りはアパレル業界を中心に広く注目され、衣服、バッグ、シューズをはじめ、家具や壁紙などのインテリア、シーツなどのベッドリネンなど、さまざまな製品の素材として採用されています。
原料のマニラ麻
原料のマニラ麻は、最も品質が良いとされるエクアドル産を使用。3年以上農薬を使用しないことなど厳しい条件をクリアし、オーガニック認証を取得しています。成長過程としては苗から約3年で高さ5~6メートル、太さ20~40センチに達するなど生育が早いため、植物の乱伐につながることはありません。また、成長の過程において二酸化炭素を吸収するため温室効果ガスの削減に貢献しています。焼却しても有害物質がほとんど発生せず、微生物の働きによって自然環境下で生分解されます。最終的に水と二酸化炭素になって自然界へ循環していきます。これらのことから、「OJO+」は持続可能な低炭素社会の実現に貢献する素材としてますます期待が高まっています。
広報誌TSUNAGU×OJO+展
また、2023年3月より当社グループ広報誌「TSUNAGU」とコラボした「T S U N A G U G A L L E R Y × O J O+展」を開催しています。
本展示では、環境にやさしい紙糸繊維「OJO+」ができるまでの過程について、原料となるマニラ麻の現物とともに紹介。また、「OJO+」の幅広い用途を知っていただくために、「OJO+」を使用した有名ブランドの製品を集めて展示しています。
シャツやジャケット、靴下といった衣類をはじめ、帽子やバッグ、靴などを実際に手に取り、その軽さやさらりとした肌触り、他の繊維との違いを確認することができます。さらに会場の床には、多方面で注目されている「OJO+」製の人工芝「OJO+ Grass」を敷設。しなやかな感触を、ぜひ体験にお越しください。
開催概要
- 会場
- KPPグループホールディングス 本社1階エントランス(東京都中央区明石町6番24号)
- 来場料
- 無料
- 開館時間
- 9:00~17:00(平日のみ)
- TEL
- 03-3542-4169(コーポレート・コミュニケーション室)
紙製フェイスカバー
従来品の環境負荷低減型フェイスカバーをさらに改善し、原材料の植物由来100%を実現
当社グループ会社の国際紙パルプ商事(以下:KPP)が、アパレルショップで使用する紙製フェイスカバーを開発しました。フェイスカバーは、洋服を試着する際、商品に化粧品や髪の毛が付着するのを防ぐために使用するものです。これまでのフェイスカバーにはポリプロピレンなどの合成繊維が多く使用されていましたが、環境負荷低減を推進するアパレルブランドからの要望を受け、紙素材に精通したKPPならではの知見を活かしたソリューションを提供。装着した際の通気性や薄さを保ちながら、強度を併せ持つパルプ100%のフェイスカバーの製品化を実現しました。海洋プラスチック汚染問題解決へ向けた商品開発は社内横断型プロジェクトであるGreen Biz Projectを中心に行っています。
本製品はパルプ100%であることから、使用済みフェイスカバーを再生可能な紙ごみとして廃棄することができます。一般的な不織布製に代わるサステナブルなアイテムとして、環境への配慮に積極的に取り組む大手小売業やアパレルブランドに訴求するとともに、より多くの方にご利用いただけるようにPRを続けてまいります。
フェイスカバーの前面(写真上部)は背面(写真下部)に比べて高い通気性を実現。
modo-cell®
当社グループは、植物由来で非プラスチック製品の原材料販売と製造を手がける株式会社アミカテラへの出資を行いました。同社は「地球に、優しく」をミッションに、セルロース残渣※や間伐材等の廃棄されてしまう植物を原材料として製造された非プラスチック製品「modo-cell®」(モドセル)の卸売・製造販売に取り組んでいます。近年、深刻化している海洋プラスチック汚染問題に対して、生分解性を持つ同社製品や製造技術を活用することにより、環境負荷低減を実現できることから、この度、出資を決定いたしました。今後、両社は本出資を通じて協業関係を深め、アミカテラ社製品の活用をはじめとして持続可能な循環型社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
植物由来のサステナブル素材「modo-cell®」とは?
植物繊維(セルロース)・でんぷん・植物由来の天然樹脂・水を原材料に使用。放置竹林の竹や稲わら、トウモロコシの芯など、これまで廃棄されていた資源を無駄なく活用し、使用後は地上・海洋での生分解が可能なため、自然環境への負荷がありません。また、製品製造の過程で出るセルロース残渣や地域で発生する農業廃棄物を原料として使用することもできるため原料枯渇の懸念がなく、石油由来資源でできた容器などの代替素材として期待されています。
▲広報誌「TSUNAGU」54号P7にてご紹介しています
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- 特長①
- 植物が主原料となるため、従来廃棄していた植物系残渣※なども原料として活用できる
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- 特長②
- 主原料が植物であるため、地上・土中で完全生分解される
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- 特長③
- 成型に独自の金型などは不要で、一般的なプラスチック成型機械での製品製造が可能
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- 特長④
- 放置竹林や農業廃棄物の処分対策に有効
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- 特長⑤
- 原料となる植物の特性を製品にも反映することが可能
※残渣……原料となる液体や固体などから目的の成分を取り除いた後に残る不純物や絞りかす。
「modo-cell®」を使用した製品例。「modo-cell®」は専用の成型設備が不要。熱硬化性と熱可塑性の両面の性質を持つため、
既存のプラスチック成型工法のすべてに適応します。
エンバイロンズ
サステナビリティの重要性がますます高まる中、KPPグループではグループ全体で環境負荷低減に資する商品やサービスの開発に取り組んでいます。グループのメンバーであるスパイサーズ※は、この度、環境負荷低減に資する商品を一挙に掲載したカタログ「エンバイロンズ」をリリースしました。
「エンビロンズ」では、サステナブルな紙ベースの商品やポリプロピレン商品、非塩化ビニル商品などを紹介しています。商品紹介だけでなく、スパイサーズの「サステナビリティ宣言」、サステナブルな目標と実践、サステナブルな商品設計のために考慮すべきヒントなど、さまざまなコンテンツを盛り込んでいます。
スパイサーズは将来世代が必要とするものを損なうことなく、今の市場のニーズを満たすことを大切にしており、これからもオセアニア地区の有力ブランドのために革新的でサステナブルなソリューションを創造します。
「エンビロンズ」は2022年6月より発売開始。オーストラリアのメルボルンで開催されるパックプリント・トレードショーでも紹介されました。
※オセアニア地区紙商のリーディングカンパニー。ハイエンド向けの印刷物やパッケージ、サイネージ等のソリューションを提供。
コアラエアボード
KPPグループに2022年に加わったヨーロッパ最大手の紙商、アンタリスはサイン&ディスプレイ業界をリードする存在でもあります。
同社は業界のリーダーとして、環境への影響を抑えるために重要な役割を担っています。また、「責任ある調達」や「客観的評価シス テムによる環境に配慮した製品づくり」など、サステナビリティにも十分に配慮しています。顧客サポートの面でも、プロフェッショナルチームを組織し、すべてのお客さまに持続可能なプロダクトとサービスを提供しています。
この取り組みの一環として、革新的でより持続可能な代替ソリューションをマーケットに提供していますが、今回はその一つの事例として「コアラエアボード」をご紹介いたします。
「コアラ」はアンタリスのビジュアルコミュニケーション関連プロダクトの自社ブランドです。コアラエアボードは紙をベースにつくられたハチの巣のような形状をしたボードで、従釆の硬質合成基板※1に代わる環境にやさしい製品です。
アンタリスのグリーンスターシステム※2においてエアボードは最もランクが高い5つ星を獲得しました。エアボードは、100%リサイクル可能な紙製で、リサイクルが困難な化石原料に代わる、より持続可能な素材です。
コアラエアボードはクラフト加工を施した高級感のある自然な仕上がりと、滑らかな高白色の仕上がりの2種類があります。いずれも印刷品質に優れており、さまざまなデジタルインクジェット技術に適しています。
エアボードはCNCカッターでの断裁が容易で簡単に折りたたむことができ、カスタマイズ可能なため、持続可能なディスプレイや看板に最適です。エアボードにはさまざまなセル構造と厚さがあるため、用途に合わせて適切な強度と剛性が選択できます。展示スタンドから美術品の設置まで、コアラエアボードは持続可能な製品であると同時に幅広い用途にも対応可能です。
※1…プラスチックのような化石資源を使ったボード。
※2…原材料の由来やリサイクル適性などを組み合わせて、 環壊面から製品を評価するシステム。